昔々、ある国に広い庭園に囲まれた宮殿を持つ王様がいました。しかし、庭師が多く、土壌は良好であったにもかかわらず、この庭には花も果物も実らず、草や木陰さえも実りませんでした。
王様がそのことに絶望していると、賢明な老人が彼にこう言いました。
老人「王様、あなたの庭師たちは庭師の仕事をまったく理解していません。しかし、それも 当然のことでしょう。靴屋や大工を父親に持つ男たちに何を期待できるというのですか? 彼らは誰からも庭師の仕事を教わっていないのですよ」
王様「お前の言うとおりだ!」
と王様は叫ぶように言いました。
老人「ですので、父と祖父が以前から庭師をしていた者を呼んでください。そうすればすぐに庭園は緑の草と美しい花にあふれ、おいしい果物を食すことができるでしょう」
そこで王は、領土内のすべての町、村、集落に使者を送り、先祖代々に渡って庭師だった者を捜させたところ、40日後に一人が見つかりました。
使者がすぐに現地へ向かい、彼に言った。
使者「私たちと一緒に来てもらおう。お前は王様の庭師になるのだ」
庭師は答えました。
庭師「私のような見目薄汚い者が、王様のところ御前に出るなど畏れ多くてできません」
使者「問題ない。お前とその家族に新しい服を用意しよう」
庭師「でも、私にはいくらかの借金があります。それを返さなくてはなりません」
使者「問題ない。私たちが代わりに返しておく」
それならば、庭師に何も言うことはありません。借金が帳消しになって、新しい服もくれるというのです。
そこで庭師は説得に身を任せ、妻と息子を連れて使者たちと一緒に出かけました。
そして王様は、腕の確かなの庭師を見つけたことに歓喜し、彼に自分の庭の手入れを任せました。
王室の庭園の世話ということで、庭師は緊張して仕事をしていまた。しかし、さして難しく感じることもなく、王室の庭園の花や果物は実り、彼が出向く前と比べて見違えるほどに美しくなしました。
王様は非常に満足して、庭師に褒美を与えたくらいでした。
さて、すでにご存じの通り、庭師には息子がいました。
彼は見目麗しくい若者で、非常に礼儀正しく、毎日 庭園で採れた最高品質の果物を王様に、そして最も美しい花を王女様に献上しておりました。
この王女様も素晴らしく美しく、年齢も16歳を迎えていたので、王様は彼女にも結婚すべき時期がきたかな、と考え始めていました。
王様「愛する娘よ。お前も結婚を考える年齢だ。私はお前の婚約者に宰相の息子を考えているのだが、どうだね?」
王女「お父様、私は宰相の息子とは決して結婚いたしません」
あまりにはっきりとした物言いに、王様は驚きながら尋ねました。
王様「なぜ駄目なんだ?」
王女ははっきりと答えました。
王女「庭師の息子を愛しているからです」
王様「なんだと!?」
これを聞いた王様は、最初は非常に怒りました。泣いて、ため息をつき、そのような身分の男は王女の夫に値しないと言い張りました。
しかし、若い王女の決意は揺るぎません。
それから王は大臣たちに相談しました。
大臣「王様、こうしてはいかがでしょうか」
大臣たちの提案はこうでした。
大臣「庭師の息子を追い出すために、二人の求婚者、つまり庭師の息子と宰相の息子を遠い外国に行かせるのです。そして、往復して先に戻った方が王女様と結婚できるという条件を出すのです」
王様はこの助言に従い、首相の息子には立派な馬と金貨がいっぱい入った財布が贈られましたが、庭師の息子には足の不自由な老馬と銅貨がいっぱい入った小袋しか持たせませんでした。
誰もが庭師の息子が帰って来ることはないだろうと思っていました。
求婚者たちが旅立つ前日、王女は庭師の息子に会い、彼にこう言いました。
王女「勇気を出して。私があなたを愛していることを常に忘れないで」
王女様はせめてもの助けにと、宝石の詰まった小袋を手渡しました。
王女「早く戻ってきて、私の手を取るのよ」
二人の求婚者は一緒に町を出たが、宰相の息子は名馬に乗って疾走し、すぐに最も遠い丘の陰で見えなくなった。
宰相の息子は数日間旅を続け、やがて噴水の前を通りがかりました。
すると、ぼろを着た老婦人が石の上に座っていました。
老婦人「こんにちは、若い旅人さん」
しかし宰相の息子はそれを無視しました。
老婦人は再び言いました。
老婦人「旅人さん、何か恵んではくれませんか。ご覧のとおり、お腹が空いて死にそうです。ここに来て3日が経ちますが、誰も私に何も与えてくれないのです」
宰相の息子は、煩わしそうに叫んだ。
宰相の息子「私に話しかけるな、婆さん! お前のためにやるものなど何もないわ!」
そうして彼は去っていきました。
その同じ夜、庭師の息子は足の不自由な灰色の馬に乗って噴水まで行きました。
老婦人「こんにちは、若い旅人さん」
庭師の息子は柔和に返事をしました。
庭師の息子「こんにちは、マダム」と彼は答えた。
老婦人「旅人さん、何か恵んではくれませんか」
庭師の息子「私の財布をとってください、マダム。そして、私の後ろに乗ってください。とてもではないが、あなたの足では街まで辿り着くのは難しいでしょう」
老婦人は二度尋ねられるのを待たずに彼の後ろに乗り、このまま彼らは ある強国の首都に到着しました。
宰相の息子は大旅館に宿泊し、庭師の息子と老婆は乞食宿で馬を下りました。
次の日、庭師の息子が通りで大きな音を聞いたので、窓から顔を出して様子を窺いました。
すると、この国の兵士と思われる者たちが通りを歩いているのが見えます。彼らはあらゆる種類の楽器を吹き鳴らしながら叫びました。
兵士「聞け、おまえたち! ただいま我らが主君は高齢で病に伏している。国王を治療し、若い頃の力を取り戻した者には、大きな報酬が与えられるだろう」
そこで物乞いの老女は恩人にこう言いました。
老婦人「報酬を得るためには、国王を治療しなければなりません。旅人さん、今から私が言うことをよく聞いて、その通りにするのです」
続けて老婦人の言ったことは、どうにも素っ頓狂なものばかりであった。しかし、不思議な説得力を持っていた。
庭師の息子「あなたが嘘を言っているとは思わないが、それが失敗すると私の命はないな」
老婦人「実行するもしないも、あなた次第でございます」
庭師の息子は悩んだが、いち早く王女のもとに戻るためには、報酬を得ることは必要不可欠なように思えて、その覚悟を決めました。
彼は街の南門から外へ出ました。老婦人の助言を記した紙の切れ端を持って。
『南門から町の外へ出ると、そこには色の異なる3匹の小さな犬がいる。最初に白犬、2番目に黒犬、3番目に赤犬』
すると、助言通り3匹の犬を発見しました。
『犬たち殺してから別々に燃やし、灰を集めなくてはならない。各犬の遺灰をそれぞれの色の袋に入れる。次に・・・』
庭師の息子は助言に従い、要件をこなしていった。そして、灰の入った袋を持って王城の前で叫んだ。
庭師の息子「やあやあ、私はアルバニアのジャニナからやってきた高名な医師である! 国王様の病気を治療し、若返らせる者は私以外におらぬ!」
この報告を聞いた王の医師たちは、彼を医者でも何でもない詐欺師に違いないと国王に進言したが、国王はこの見知らぬ旅人の謁見を許可した。
眼前にやってきた若者に、しわがれた声で王様は言いました。
強国の王「アルバニアの医者よ。本当に私の病を癒し、若返らせる事ができるのだな?」
庭師の息子「もちろんでございます。しかし、それには私の言う通りの物を用意して、王様にも治療に協力して頂かなければなりません」
強国の王「よかろう。だが」
王様は意味ありげにニヤリと笑いました。
強国の王「失敗した時には命はないと思えよ」
庭師の息子は、ある部屋にラバ3頭でようやく運べるほどの木材と大釜を用意させ、それを沸騰させました。
そして国王と二人で部屋に閉じこもりました。国王の側近たちも中には入ってこれません。
庭師の息子「それでは、王様。この釜を覗き込んでみてください。必要な事なのです」
王様が指示通りに大釜を覗き込んだところで、庭師の息子を国王をその中に突き落としました。
強国の王「貴様! なにを!」
王様の声を無視して、彼は釜に蓋をしました
庭師の息子「さて、そして肉と骨が完全に分離するまで待つ、と」
決して、豚肉の煮込み料理を作る訳ではありません。ちゃんとした治療なのです。
やがて、十分な時間が経ったので、大釜から骨を取り出すと、適切な場所に並べて、その上に3つの袋から遺灰を撒きました。
するとどうでしょう。
遺灰が骨にまとわりついて、あっと言う間に王様の姿を取りました。それだけではありません。その姿は20代前半のような、若々しいものとなっていたのです。
王様は狂喜しました。そして、言いました。
強国の王「よくやった! 報酬をやろう。どのような褒美を望む? 我が国の宝物庫の中身を半分持って行くか?」
庭師の息子「いいえ」
強国の王「我が娘を嫁にやろうか?」
庭師の息子「いいえ」
強国の王「我が王国の半分を与えようか?」
庭師の息子「いいえ。私が望むのは・・・」
庭師の息子は恭しく頭を下げて、老婦人の助言通りの物を要求した。
庭師の息子「私の願いを何でも即座に叶えてくれる『青銅の指輪』をください。それさえ頂ければ、他に何もいりませぬ」
王様は、おお!と声を上げました。
「たしかに私はその素晴らしい指輪を持っている。だが、いいだろう。お前にそれをやろう」
そして彼は王様より『青銅の指輪』を下賜されました。
庭師の息子は物乞いの老女に別れを告げに戻って行きました。
それから彼は『青銅の指輪』にこう言いました。
庭師の息子「私が旅を続けるために相応しい船を用意してくれ。船体は純金、マストは銀、帆は錦がいい。乗組員は、王のような服を着た高貴な容姿の 12 人の若者で構成して、聖ニコラウスが指揮を執る。貨物は、ダイヤモンド、ルビー、エメラルド、カーバンクルだ」
そしてすぐに、庭師の息子が望んものと寸分たがわぬ船が海に現れ、彼は船に乗り込み、旅を続けました。
やがて彼は大きな町に到着し、素晴らしい宮殿に居を構えました。
数日後、彼はライバルである宰相の息子に出会ったが、彼は全財産を使い果たし、塵とゴミの運び屋という物乞いのような姿に転落していた。
庭師の息子は彼にこう言いました。
庭師の息子「名前は何というのですか? 家族はどうしました? どこの国から来たのですか?」
宰相の息子「私は大国の宰相の息子です。本来は、こんな屈辱的な仕事をするような身分ではないのです。本当です」
どうにも、彼は庭師の息子の正体に気づいていないようでした。それを確認して、庭師の息子は思いつきました。
庭師の息子「良い話があります。私はこれ以上、あなたのことを詮索しませんが、喜んであなたの手助けをしましょう。ある条件を受け入れてくれれば、あなたの国に帰るための船を差し上げましょう」
宰相の息子「何でもします! 船をくれるというなら、私にできることなら何でも!」
庭師の息子は頷きました。
庭師の息子「私の宮殿までついて来てください」
首相の息子は、見覚えのない金持ちの見知らぬ男の後に付いて行った。彼らが宮殿に到着すると、庭師の息子は奴隷に合図をし、奴隷は宰相の息子の服を全て脱がしました。
庭師の息子「この指輪を真っ赤に焼いて、彼の背中に焼印しなさい」
奴隷たちは主人の命に従いました。
宰相の息子が発する苦痛の声が収まった頃合いで、金持ちの見知らぬ男は言いました。
庭師の息子「さあ、若者よ。あなたを自分の国に連れて帰れる船をあげましょう」
そして外に出て、彼は青銅の指輪を手に取り、こう言いました。
庭師の息子「青銅の指輪よ、主に従え。半分腐った材木を黒く塗り、帆はぼろぼろにし、船員は衰弱して病弱な船を用意しろ。一人は足を失い、もう一人は腕を失い、三人目はせむしで、また一人は足が不自由か内反足か盲目であり、そのほとんどは醜く傷だらけだ。さあ、私の命令を実行するのだ」
宰相の息子はこの古い船に乗り込み、追い風のおかげもあって、ついに自分の国に到着しました。
彼が悲惨な状態で戻ってきたにもかかわらず、城の者たちは彼を喜んで迎え入れました。
宰相の息子「ご覧の通り、最初に戻ってきたのは私です。さあ、約束の通り、私と王女の婚姻をお許しいただきたい」
王様はその言葉に頷いた。
そして、王国の者たちはすぐに結婚式の準備を始めました。
可哀そうな王女に関して言えば、彼女は十分に悲しみ、そして怒りを感じていました。
翌朝、すべての帆を張った素晴らしい船が城下町の港に停泊しました。その時、王はたまたま宮殿の窓にいました。
王様「なんと! あんな奇妙な船は見たことがない!」
王様は叫んだ。そして、周囲の者たちに言いました。
王様「あの船の舵を取っているのは聖ニコラウスだと言われても不思議ではない! すぐに行って、船長を宮殿に招待するのだ」
召使たちは命令に従い、直ちに港へと向かいました。
すぐに、真珠とダイヤモンドで飾られた、豪華な絹を着た、魅惑的にハンサムな若い王子がやって来ました。
これは、只者ではないと王様は思いました。
王様「若者よ。あなたが、どんな身分の物かはともかく、歓迎しよう。あなたがこの街に留まる限り、私の客人としてよろしくお願したい」
船長は答えました。
若い王子?「どうもありがとうございます、陛下。あなたの申し出を受け入れます」
王様「そういえば、私の娘はもうすぐ結婚するのだが、娘をご覧に入れようか? 我が娘ながら美しく育った。きっと魅了されることだろう」
その後すぐに王女と婚約者がやって来ました。
それを見て、若い王子は叫びました。
若い王子?「なんということだ!? この魅力的な王女をそんな男と結婚させるというのですか!?」
王様は、突然 叫んだ若い王子に驚きながらも、口を開いた。
王様「いや、そうは言うが、彼は宰相の息子なのだぞ」
若い王子?「それに何の意味があるというのです!? その男は私の使用人の一人ですよ! そんな男にあなたの王女を渡してはいけません!」
王様「あ、あなたの使用人だって?」
若い王子?「間違いなく。私が彼に出会ったのは、ここから遠く離れた国の町でした。彼は家々から埃やゴミを運び出す乞食のような仕事をしていた。私は彼を憐れに思って、私の召使いの一人として雇ったのです」
王様「あり得ない!」
若い王子?「それならば、私の言うことを証明しましょう。この若者は私が彼のために用意させた船で帰ってきたはずです。黒いボロボロの船、航海に適さないような状態で、船員たちも衰弱していて足も不自由だったはずです」
王様は目を見開きました。その時、この若い王子は、ここにいなかったはずなのに。
王様「確かに、あなたの言う通りだ・・・」
宰相の息子「嘘だ! 私はこの人を知りません!」
焦った様子の男を横目に、若い王子は王様に向かって恭しく頭を下げた。
若い王子?「陛下、この婚約者の衣服を剥ぐよう命じてください。そして、彼の背中を確認していただきたい。そこには、私の指輪の跡が焼印されているはずです」
国王がこの命令を下そうとしたとき、首相の息子が絶望に顔を歪めた。
宰相の息子「・・・認めます」
そのような屈辱から身を守るためであろう。彼は話が真実であることを認めました。
若い王子?「ところで、陛下」
意味ありげな笑みを浮かべて、若い船長は言いました。
若い王子?「私に気づかないのですか?」
王様は訝しげに小首を傾げた。
その横を通り過ぎてやってきたのは、さきほど婚約を解消した王女様です。
王女「私はあなたを知っています」
と王女は言いました。彼女はずいぶん前から、機嫌の良い表情をしていました。そう、若い王子のを見た時からです。
王女「あなたは私がいつも愛している庭師の息子です。私が結婚したいのはあなたです」
王様はひどく驚いて、若い王子の姿をした庭師の息子と王女を交互に見ました。
そして、ようやく状況を把握すると、叫びます。
王様「若者よ、君は私の義理の息子なった! 結婚の準備はもう整っている。今日、私の娘と結婚するのだ」
そしてまさにその日、庭師の息子は美しい王女と結婚しました。
数か月が経ちました。若い夫婦は一日が長かったように幸せで、国王はこのような義理の息子をもてたことにますます満足しました。
しかし、ある時、黄金の船の船長は、ある仕事のため長い航海に出かけることとなりました。
彼は妻を優しく抱きしめた後、船に乗り出しました。
今現在、首都の郊外に、錬金術、占星術、魔術、魔法などの黒魔術の研究に生涯を費やした老人が住んでいました。
この男は、庭師の息子が王女が結婚したこと。そしてそれが、『青銅の指輪』に従っていた魔神たちの助けによって成されたことを知っていました。
その指輪は私がもらうよ、と彼は心の中で言いました。
彼は海岸に行くと、小さな赤い魚をいくつか捕まえました。本当に、とても素晴らしくきれいでした。
それから彼は王城に向かいました。
あらかじめ下調べしていた王女がいる部屋の窓の前を通り過ぎると、叫び始めました。
老人「きれいな小さな赤い魚が欲しい人はいますか?」
王女は彼の話を聞いて、奴隷の一人を呼びつけました。
王女「きれいな赤い魚ですって。もらってきてください」
奴隷は老行承認のもとに向かいます。
奴隷「魚はいくらだい?」
老人「お金はいりません。青銅の指輪をください」
奴隷「青銅の指輪? 爺さん。そりゃどこにあるんだい?」
老人「王女様の部屋のクッションの下で」
奴隷は王女のところに戻りました。
奴隷「あの老人は狂ってるようですな。金も銀も要らないそうです」
王女「それで彼は何が欲しいのですか?」
奴隷「クッションの下にある青銅の指輪だそうです」
王女「指輪を見つけて彼に渡して」
と王女は言いました。
そしてついに奴隷は、黄金の船の船長がうっかり置き忘れた青銅の指輪を見つけ、それを老人のところへ運び、彼は即座にそれを持ち去りました。
彼は自分の家に着く間もなく、指輪を手に取りながらこう言いました。
老魔術師「青銅の指輪よ、主人に従いなさい。私は黄金の船が黒い木に変わり、乗組員がおぞましい黒人に変わることを望みます。聖ニコラウスは舵を離れ、積荷は黒猫だけになるだろう」
そして青銅の指輪の魔神は彼に従いました。
この惨めな状況で海上に立っていた若い船長は、誰かが自分から青銅の指輪を盗んだに違いないと確信し、大声で自分の不幸を嘆いた。しかしそれは彼にとって何の役にも立ちませんでした。
船長「ああ!」
彼は心の中で思った。
私の指輪を奪った者は、きっと私の愛する妻も奪ったに違いない。自分の国に帰ったとして何ができる?
そして彼は島から島へ、岸から岸へと船で渡りました。
どこに行っても皆が彼を笑っているような気がしました。
するとすぐに彼の貧困は深刻になり、彼と彼の乗組員、そして哀れな黒猫たちはハーブ以外に食べるものが何もなくなりました。
そして、長い間さまよった後、彼はネズミが住む島にたどり着きました。
船長は海岸に上陸し、その国を探索し始めました。どこにでもネズミがいて、ネズミしかいませんでした。
何匹かの黒猫が彼の後を追ってきましたが、数日間餌を与えていなかったため、恐ろしいほどお腹が空いて、ネズミたちを片っ端から狩りだしました。
そこでネズミの女王が会議を開きました。
ネズミの女王「あの船の主が凶暴な動物たちを何とかしなければ、この猫たちは私たち全員を食べてしまうでしょう。私たちの中で最も勇敢な者たちから、代表を彼のところに送りましょう」
数匹のネズミがこの任務に名乗り出て、若い船長を探し出しました。
代表のネズミ「船長、早く私たちの島から去ってください。さもなければ、ネズミたちも滅びてしまいます」
喜んで。と若い船長は答えた。
船長「それでは、まず、どこかのずる賢い魔術師が私から盗んだ青銅の指輪を私に返してもらわなければなりません。そうしなければ、私の猫たちは全てこの島に上陸し、あなたたちは絶滅するでしょう」
ネズミたちはひどく狼狽して仲間たちのもとに帰還した。
ネズミの女王「さて、どうすれば良いでしょうか? この青銅の指輪はどうやって見つけられますか?」
彼女は新たな評議会を開催し、世界中からネズミを集めたが、青銅の指輪がどこにあるのか誰も知らなかったのです。その時、遠い国から三匹のネズミがやって来ました。一匹は目が見えず、二匹目は足が不自由で、三匹目は耳が切り取られていました。
新参者「ほほほ! 私たちは遠い国から来ました。」
ネズミの女王「魔神が従う青銅の指輪がどこにあるか知っていますか?」
新参者「ほほほ!私たちは知っています。老魔術師がそれを手に入れ、今では昼はポケットに入れ、夜は口の中に入れています」
ネズミの女王「直ちにその老魔術師のもとに向かうのです。彼から指輪を奪い取り、できるだけ早く戻ってきてください」
そこで、三匹のネズミは船を作り、魔術師の国に向けて出発しました。
首都に到着すると、彼らは上陸して宮殿に走り、船の世話をする盲目のネズミだけを岸に残しました。
それから彼らは夜になるまで待ちました。邪悪な老人はベッドに横たわって青銅の指輪を口に入れると、すぐに眠ってしまいました。
ネズミ「さて、どうする?」
二匹の小動物は互いに言いました。
耳を切り落としたネズミは、油の入ったランプとコショウの入った瓶を見つけました。そこで彼女は尻尾を最初に油に浸し、次にコショウに浸し、それを魔術師の鼻に当てました。
老魔術師「はくしょん!はくしょーん!」
老人はくしゃみをしましたが、目を覚まさず、衝撃で青銅の指輪が口から飛び出しました。足の不自由なネズミは、思ったとおりになったと、素早く、指輪をひったくって、ボートまで運び去ってしまいました。
目が覚めると青銅の指輪がどこにも見つからなかったときの魔術師の絶望を想像してみてください。
しかしその時までに、3匹のネズミは賞品を持って出航していました。心地よい風が彼らをネズミの女王が待つ島へと運んでいきました。当然のことながら、彼らは青銅の指輪について話し始めました。
ネズミたち「私たちの中で第一功は誰だと思う?」
彼らは一斉に鳴きました。
盲目のネズミ「私だよ。私が注意して船を見ていなければ、今頃この船は外海に漂流していたんだぞ」
片耳のネズミ「ちょっと待ってくれ。第一功は私だ。私があの男の口から指輪を飛び出させたんじゃないか?」
足の不自由なネズミ「いやいや、私だよ。何せ、指輪を持って逃げたのは私だからな」
そして、彼らはそれぞれの自分勝手な物言いから、すぐに殴り合いになりました。そして、口論が最も激しくなったとき、なんと青銅の指輪が海に落ちてしまいました。
ネズミ「一族の存続が掛かっている御守りの指輪を、私たちのせいで失くしてしまった。どうやって女王に顔を合わせたらいいんだ」
三匹のネズミは嘆きました。
ネズミ「いや、このまま国に戻ることなどできない。そこの無人島に上陸して、そこで私たちの惨めな人生を終わらせましょう」
言うや否や、船は島に到着し、ネズミたちが上陸しました。
盲目のネズミは、ハエを捕まえに出かけた二人の妹たちにすぐに見捨てられました。
しかし、海岸に沿って悲しげにさまよっていた彼女が、死んだ魚を見つけて食べていると、何かとても硬いものを感じました。
盲目のネズミ「ああ!」
彼女の叫び声に、他の二匹のネズミが駆け寄ってきました。
ネズミ「それは青銅の指輪だ! お守りだ!」
彼らはうれしそうに叫び、再び船に乗り込むと、すぐにネズミの島に到着しました。
ちょうど船長が猫の積荷を陸揚げしようとしていたとき、ネズミの代表が貴重な青銅の指輪を持ってきた。
船長「青銅の指輪よ、主人に従いなさい。私の船を以前と同じように見せてください」
すぐに指輪の魔神が動き始め、古い黒い船は再び錦の帆を備えた素晴らしい黄金の船になりました。ハンサムな船員たちは銀色のマストと絹のロープに駆け寄り、すぐに首都に向けて出航しました。
船乗りたちはガラスのような海の上を飛びながらなんと楽しそうに歌を歌っていたことでしょう。
ついに港に到着しました。
船長は着陸して宮殿に走り、そこで邪悪な老人が眠っているのを見つけました。
王女は夫を長い抱擁で抱きしめました。
魔術師は逃げようとしたが、捕らえられ、強い紐で縛られた。
翌日、木の実を積んだ凶暴なラバの尻尾に縛り付けられた魔術師は、ラバの背中にあった木の実と同じ数だけ粉々に砕かれた。
ということで、ブロンズリングというお話でした。続いて、アシスタント娘のツッコミありバージョンです。興味のある方はどうぞ。
ブロンズリング(茶番あり)
ここからは茶番劇。ブロンズリングを『のべまるち演劇団』の皆さんに演じてもらいます。
昔々、ある国に広い庭園に囲まれた宮殿を持つ王様がいました。しかし、庭師が多く、土壌は良好であったにもかかわらず、この庭には花も果物も実らず、草や木陰さえも実りませんでした。
王様がそのことに絶望していると、賢明な老人が彼にこう言いました。
王様~。今の庭師さんは駄目駄目で~す。だって~靴屋さんとか大工さんの子供さんばかりで~誰からも仕事を教えてもらってないらしいので~
なんで、そんな奴らを庭師に採用したのデス!? すぐ何とかするのデス!
と王様は叫ぶように言いました。
は~い。じゃあ、お爺さんの代から庭師さんをしてる人を探しま~す。庭園を元通りにして、綺麗な花や美味しい果物でいっぱいにしましょうね~。
そこで王は、領土内のすべての町、村、集落に使者を送り、先祖代々に渡って庭師だった者を捜させたところ、40日後に一人が見つかりました。
使者がすぐに現地へ向かい、彼に言った。
すみませ~ん。王様の庭園の庭師をしませんか~
庭師は答えました。
ええ!? き、急に言われても・・・王様のところなんか緊張するし・・・服も持ってないし・・・無理よ!
大丈夫ですよ~。あなたにも家族の方にも~新しいお洋服を用意します~
で、でも・・・借金とかあるし。返さないまま出て行くなんて・・・
大丈夫ですよ~。国が代わりに返します~
ホントに!?
それならば、庭師に何も言うことはありません。借金が帳消しになって、新しい服もくれるというのです。
そこで庭師は説得に身を任せ、妻と息子を連れて使者たちと一緒に出かけました。
そして王様は、腕の確かなの庭師を見つけたことに歓喜し、彼に自分の庭の手入れを任せました。
王室の庭園の世話ということで、庭師は緊張して仕事をしていまた。しかし、さして難しく感じることもなく、王室の庭園の花や果物は実り、彼が出向く前と比べて見違えるほどに美しくなしました。
王様は非常に満足して、庭師に褒美を与えたくらいでした。
さて、すでにご存じの通り、庭師には息子がいました。
ご存じの通りかどうかはともかく、息子よ!
彼は見目麗しくい若者で、非常に礼儀正しく、毎日 庭園で採れた最高品質の果物を王様に、そして最も美しい花を王女様に献上しておりました。
この王女様も素晴らしく美しく、年齢も16歳を迎えていたので、王様は彼女にも結婚すべき時期がきたかな、と考え始めていました。
娘よ。お前もそろそろ結婚を考える時期デス。宰相の息子とかどうデス?
宰相の息子とか・・・イヤ・・・
あまりにはっきりとした物言いに、王様は驚きながら尋ねました。
えー、何か理由があるのデスか?
王女ははっきりと答えました。
庭師の息子が好き・・・イケメン・・・
そこそこ浅い理由デス!?
これを聞いた王様は、最初は非常に怒りました。泣いて、ため息をつき、そのような身分の男は王女の夫に値しないと言い張りました。
しかし、若い王女の決意は揺るぎません。
それから王は大臣たちに相談しました。
王様~こういうのはどうでしょうか~
大臣たちの提案はこうでした。
庭師さんの息子さんと~宰相さんの息子さんでレースをするんです~。とおーい外国へ行って~、先に帰ってきた人が王女様と結婚~
何でそうなるデス!?・・・でも話が進まないのでOKデス・・・
王様はこの助言に従い、首相の息子には立派な馬と金貨がいっぱい入った財布が贈られましたが、庭師の息子には足の不自由な老馬と銅貨がいっぱい入った小袋しか持たせませんでした。
誰もが庭師の息子が帰って来ることはないだろうと思っていました。
求婚者たちが旅立つ前日、王女は庭師の息子に会い、彼にこう言いました。
早く帰って来て・・・ね・・・
王女様はせめてもの助けにと、宝石の詰まった小袋を手渡しました。
もし負けたら・・・許さない・・・
この王女、ちょっと怖いんだけど
二人の求婚者は一緒に町を出たが、宰相の息子は名馬に乗って疾走し、すぐに最も遠い丘の陰で見えなくなった。
宰相の息子は数日間旅を続け、やがて噴水の前を通りがかりました。
すると、ぼろを着た老婦人が石の上に座っていました。
おはよーございますデス
しかし宰相の息子はそれを無視しました。
老婦人は再び言いました。
おはよーございますデス。旅人さん、何か恵んでくださいデス。もう、3日も何も食べていなくて、お腹が空いて死にそうなのデス
宰相の息子は、煩わしそうに叫んだ。
話しかけるんじゃねえ~お前にやるもんなんかあるか~
辛辣ぅ!
そうして彼は去っていきました。
鬼畜の所業なのデス!
ちなみに・・・訳した口調とかは雰囲気でやってる・・・
その同じ夜、庭師の息子は足の不自由な灰色の馬に乗って噴水まで行きました。
老婦人「兄ちゃん、おはよーさん」
庭師の息子は柔和に返事をしました。
庭師の息子「婆ちゃん、どないしたん」と彼は答えた。
老婦人「兄ちゃん、何か恵んでくれへんか?」
庭師の息子「おっしゃ。俺の財布とっとき。そんで俺の後ろに乗ったらええわ。その足やったら、街に行くのしんどいやろ?」
老婦人は二度尋ねられるのを待たずに彼の後ろに乗り、このまま彼らは ある強国の首都に到着しました。
宰相の息子は大旅館に宿泊し、庭師の息子と老婆は乞食宿で馬を下りました。
次の日、庭師の息子が通りで大きな音を聞いたので、窓から顔を出して様子を窺いました。
すると、この国の兵士と思われる者たちが通りを歩いているのが見えます。彼らはあらゆる種類の楽器を吹き鳴らしながら叫びました。
兵士「耳ん中かっぽじってよく聞け、お前ら! ええか、王様が年行ってもーて、身体も悪くしとる! 王様を治せる奴はぎょーさん褒美もらえるで!」
そこで物乞いの老女は恩人にこう言いました。
老婦人「王様治したら、褒美もらえるねん。兄ちゃん、私の言うことよーく聞いて、その通りにするんやで」
続けて老婦人の言ったことは、どうにも素っ頓狂なものばかりであった。しかし、不思議な説得力を持っていた。
庭師の息子「それホンマか? 嘘やったら俺、死んでまうで」
老婦人「まあ、やるもやらんも、あんたの度胸次第やな」
庭師の息子は悩んだが、いち早く王女のもとに戻るためには、報酬を得ることは必要不可欠なように思えて、その覚悟を決めました。
あれ? ここから先の訳、何かおかしくないデス? いや関西弁がすでにデスけど。
物語の流れ的に・・・ほとんどアレンジして訳したらしい
なるほどデス! 一部大幅に意訳している文があるのでよろしくデス!
彼は街の南門から外へ出ました。老婦人の助言を記した紙の切れ端を持って。
『南門から町の外へ出ると、そこには色の異なる3匹の小さな犬がいる。最初に白犬、2番目に黒犬、3番目に赤犬』
すると、助言通り3匹の犬を発見しました。
『犬たち殺してから別々に燃やし、灰を集めなくてはならない。各犬の遺灰をそれぞれの色の袋に入れる。次に・・・』
普通にヒドイ事やってやがるデス!
動物虐待・・・ダメ・・・絶対・・・
庭師の息子は助言に従い、要件をこなしていった。そして、灰の入った袋を持って王城の前で叫んだ。
庭師の息子「おーい、俺はアルバニアのジャニナっちゅーとこからきた、えらーいお医者さんや! 王様の病気やろうが、若返りやろうが、俺ならちょちょいのちょいや!」
この報告を聞いた王の医師たちは、彼を医者でも何でもない詐欺師に違いないと国王に進言したが、国王はこの見知らぬ旅人の謁見を許可した。
眼前にやってきた若者に、しわがれた声で王様は言いました。
強国の王「アルバニアの先生さんよ、ホンマに俺の身体治して、若返らせてくれんのかいな?」
庭師の息子「もちろんやがな。でもやで? 王様にも協力してもらわなあかん。俺が言うもんきっちり用意して、俺の指示通りに動いててもらわんと」
強国の王「ええやろ。でもな」
王様は意味ありげにニヤリと笑いました。
強国の王「アカンかった時は、どうなるか分かっとるな」
庭師の息子は、ある部屋にラバ3頭でようやく運べるほどの木材と大釜を用意させ、それを沸騰させました。
そして国王と二人で部屋に閉じこもりました。国王の側近たちも中には入ってこれません。
庭師の息子「よっしゃ。王様、ちょっとこの釜 覗き込んでみてんか」
王様が指示通りに大釜を覗き込んだところで、庭師の息子を国王をその中に突き落としました。
強国の王「このクソボケ! なにすんねんコラ!」
王様の声を無視して、彼は釜に蓋をしました
庭師の息子「おし。熱湯を入れたら蓋をして3分待つ、と」
殺人・・・極めて猟奇的・・・カップラーメンを作る感じの手際
得体の知れないお婆さんの言うこと聞いて、王様をやっちまうとか、頭がおかしいとか思えないデス!
決して、豚肉の煮込み料理を作る訳ではありません。ちゃんとした治療なのです。
やがて、十分な時間が経ったので、大釜から骨を取り出すと、適切な場所に並べて、その上に3つの袋から遺灰を撒きました。
するとどうでしょう。
遺灰が骨にまとわりついて、あっと言う間に王様の姿を取りました。それだけではありません。その姿は20代前半のような、若々しいものとなっていたのです。
いや、そうはならんやろ、デス!
王様は狂喜しました。そして、言いました。
強国の王「よーやった! 何が欲しい? 何でもくれてやるで。宝物庫の中身半分くらい持ってくか?」
庭師の息子「いらん」
強国の王「ワシの娘やろか?」
庭師の息子「いらん」
強国の王「国半分いるか?」
庭師の息子「いらん。俺が欲しいのはな・・・」
庭師の息子は恭しく頭を下げて、老婦人の助言通りの物を要求した。
庭師の息子「願った事なーんでも叶えてくれる『青銅の指輪』をくれ。それさえ貰えりゃ他はどうでもええわ」
王様は、おお!と声を上げました。
「あった、あった! たしかに持っとったわ。ええで。お前にやるわ」
これ・・・王様が指輪に病気とか若返りとかお願いすればよかったんじゃねーデスかね?
それは言わない・・・お約束・・・
そして彼は王様より『青銅の指輪』を下賜されました。
庭師の息子は物乞いの老女に別れを告げに戻って行きました。
それから彼は『青銅の指輪』にこう言いました。
庭師の息子「私が旅を続けるために相応しい船を用意してくれ。船体は純金、マストは銀、帆は錦がいい。乗組員は、王のような服を着た高貴な容姿の 12 人の若者で構成して、聖ニコラウスが指揮を執る。貨物は、ダイヤモンド、ルビー、エメラルド、カーバンクルだ」
そしてすぐに、庭師の息子が望んものと寸分たがわぬ船が海に現れ、彼は船に乗り込み、旅を続けました。
やがて彼は大きな町に到着し、素晴らしい宮殿に居を構えました。
数日後、彼はライバルである宰相の息子に出会ったが、彼は全財産を使い果たし、塵とゴミの運び屋という物乞いのような姿に転落していた。
庭師の息子は彼にこう言いました。
庭師の息子「あんた、名前なんて言うんや? 家族おるんか? どっから来た?」
宰相の息子「俺は大国の宰相の息子や。ホンマは、こんなとこでこんな腐った仕事するようなモンちゃうねん。ホンマや!」
どうにも、彼は庭師の息子の正体に気づいていないようでした。それを確認して、庭師の息子は思いつきました。
庭師の息子「ええ話があるでぇ。これ以上は何も聞かん。助けたる。ただし、条件がある。それを呑んでくれれば、あんたが国に帰るための船を用意したるわ。な? 悪い話ちゃうやろ?」
あわわわ。ヤクザ映画で見た事あるデス。悪い奴デス
借金帳消しにする時に言うヤツ・・・
宰相の息子「何でもやる! 船くれるんやったら何でもやるで!」
庭師の息子は頷きました。
庭師の息子「よーし、俺の家まで付いてき」
首相の息子は、見覚えのない金持ちの見知らぬ男の後に付いて行った。彼らが宮殿に到着すると、庭師の息子は奴隷に合図をし、奴隷は宰相の息子の服を全て脱がしました。
庭師の息子「お前ら! 指輪焼け。コイツの背中にシルシ付けたれ!」
奴隷たちは主人の命に従いました。
焼印・・・痛そう・・・
奴隷の印ってやつデスね
宰相の息子が発する苦痛の声が収まった頃合いで、金持ちの見知らぬ男は言いました。
庭師の息子「よーし、兄ちゃん。あんたに船やるで。家に帰れる立派な船や」
そして外に出て、彼は青銅の指輪を手に取り、こう言いました。
庭師の息子「青銅の指輪さん、腐った木ぃとボロボロの帆ぉの船を作れ! 船員は病人とか片足ない奴、片腕ない奴、せむしの奴、目ぇ見えへん奴、傷だらけで汚い奴ばっかでええわ」
宰相の息子はこの古い船に乗り込み、追い風のおかげもあって、ついに自分の国に到着しました。
彼が悲惨な状態で戻ってきたにもかかわらず、城の者たちは彼を喜んで迎え入れました。
宰相の息子「見たか! 俺が先に帰ってきたで! 約束通り、王女さんは俺のモンや!」
王様はその言葉に頷いた。
そして、王国の者たちはすぐに結婚式の準備を始めました。
可哀そうな王女に関して言えば、彼女は十分に悲しみ、そして怒りを感じていました。
翌朝、すべての帆を張った素晴らしい船が城下町の港に停泊しました。その時、王はたまたま宮殿の窓にいました。
王様「なんや! あんな変な船見たことないで!!」
王様は叫んだ。そして、周囲の者たちに言いました。
王様「あの船の舵を取ってんの何や!? 聖ニコラウスか!? 何や言うても、あんな船の船長なんか只者やないで! 金の匂いがする! 城に招待するんや!」
ちなみに。ここの聖ニコラウスのところの訳はちょっと迷ったそうデス
管理人・・・力不足・・・
召使たちは命令に従い、直ちに港へと向かいました。
すぐに、真珠とダイヤモンドで飾られた、豪華な絹を着た、魅惑的にハンサムな若い王子がやって来ました。
これは、只者ではないと王様は思いました。
王様「兄ちゃん、あんたが誰か知らんけどお客さんとして歓迎するわ。ゆっくりして行ってや」
船長は答えました。
若い王子?「ありがとさん。王様。そうさせてもらうわ」
王様「そういえば、俺の娘がもうすぐ結婚すんねん。見てみるか? めっちゃ可愛いで。惚れてまうで」
その後すぐに王女と婚約者がやって来ました。
それを見て、若い王子は叫びました。
若い王子?「おいおい、どういう事やねん! こんな可愛らしい女の子と、こんなどうしようもない男と結婚させるんかいな! そらあんまりやろ!?」
王様は、突然 叫んだ若い王子に驚きながらも、口を開いた。
王様「いやいや、どうしようもないて、あれウチの宰相の息子やで」
若い王子?「それがなんやねん! そいつは俺んとこの下っ端やで。そんなもんに、王女様をやるとか頭どうかしてるやろ!」
王様「に、兄ちゃんとこの下っ端やって?」
若い王子?「そうや。そいつと会ったんは遠くの外国でな。そいつはゴミ拾いやら何やら乞食みたいな仕事しとったんや。俺もそれ見てて可哀そうになってな、せめてもの情けや思うて雇ったったんや」
王様「そんなアホな!」
若い王子?「よっしゃ。証拠見せたるわ。そいつがどんな船に乗ってきたか当てたるわ。何せ、その船やったん俺やからな。黒ーいボロボロの船、航海できるかどうか怪しい感じで、船員もどっか不自由やったり病気持ちやったりで散々やったやろ」
王様は目を見開きました。その時、この若い王子は、ここにいなかったはずなのに。
王様「せや・・・あんたの言う通りや・・・」
宰相の息子「嘘や! 俺はこんなヤツ知らん!」
焦った様子の男を横目に、若い王子は王様に向かって恭しく頭を下げた。
若い王子?「王様、そんならコイツの上着をちょっと剝いでもらってええか。背中に俺の指輪の跡があるはずや」
ここまで先読みして焼印と船をやったのはすげーデスね
汚いなさすが庭師きたない・・・
国王がこの命令を下そうとしたとき、首相の息子が絶望に顔を歪めた。
宰相の息子「・・・認める」
そのような屈辱から身を守るためであろう。彼は話が真実であることを認めました。
若い王子?「そりゃそうと、王様」
意味ありげな笑みを浮かべて、若い船長は言いました。
若い王子?「俺に気づかへんか?」
王様は訝しげに小首を傾げた。
その横を通り過ぎてやってきたのは、さきほど婚約を解消した王女様です。
王女「あたしは知っとるで」
と王女は言いました。彼女はずいぶん前から、機嫌の良い表情をしていました。そう、若い王子のを見た時からです。
王女「庭師の息子やろ。あたしと一緒になるのはあんたや」
王様はひどく驚いて、若い王子の姿をした庭師の息子と王女を交互に見ました。
そして、ようやく状況を把握すると、叫びます。
王様「よし、今日からお前は俺のせがれや! 結婚の準備はもうできとるで。今日、結婚するんや」
そしてまさにその日、庭師の息子は美しい王女と結婚しました。
数か月が経ちました。若い夫婦は一日が長かったように幸せで、国王はこのような義理の息子をもてたことにますます満足しました。
しかし、ある時、黄金の船の船長は、ある仕事のため長い航海に出かけることとなりました。
コレ、長い航海に出る理由がよく分からないのデス。原文にもそれらしい表現がなかったって管理人が言ってました。
『ある仕事のために』は・・・管理人の意訳・・・
彼は妻を優しく抱きしめた後、船に乗り出しました。
今現在、首都の郊外に、錬金術、占星術、魔術、魔法などの黒魔術の研究に生涯を費やした老人が住んでいました。
この男は、庭師の息子が王女が結婚したこと。そしてそれが、『青銅の指輪』に従っていた魔神たちの助けによって成されたことを知っていました。
その指輪は私がもらうよ、と彼は心の中で言いました。
彼は海岸に行くと、小さな赤い魚をいくつか捕まえました。本当に、とても素晴らしくきれいでした。
それから彼は王城に向かいました。
あらかじめ下調べしていた王女がいる部屋の窓の前を通り過ぎると、叫び始めました。
老人「きれいな小さな赤い魚が欲しい人はいますか?」
王女は彼の話を聞いて、奴隷の一人を呼びつけました。
王女「きれいな赤い魚ですって。もらってきてください」
奴隷は老行承認のもとに向かいます。
奴隷「魚はいくらだい?」
老人「お金はいりません。青銅の指輪をください」
奴隷「青銅の指輪? 爺さん。そりゃどこにあるんだい?」
老人「王女様の部屋のクッションの下で」
奴隷は王女のところに戻りました。
奴隷「あの老人は狂ってるようですな。金も銀も要らないそうです」
王女「それで彼は何が欲しいのですか?」
奴隷「クッションの下にある青銅の指輪だそうです」
王女「指輪を見つけて彼に渡して」
と王女は言いました。
そしてついに奴隷は、黄金の船の船長がうっかり置き忘れた青銅の指輪を見つけ、それを老人のところへ運び、彼は即座にそれを持ち去りました。
どー考えても王女様は頭おかしいデス! クッションの下にある物を把握されてるとか変質者っていうか不法侵入者デス!
小さいことは気にしない・・・それが王族・・・大物
いやいや、小さくねーデス。指輪盗まれてるデス
盗んでない・・金魚の対価・・・
(;゚д゚)アッ….
彼は自分の家に着く間もなく、指輪を手に取りながらこう言いました。
老魔術師「青銅の指輪よ、主人に従いなさい。私は黄金の船が黒い木に変わり、乗組員がおぞましい黒人に変わることを望みます。聖ニコラウスは舵を離れ、積荷は黒猫だけになるだろう」
ここの『黒人』は差別用語っぽいデスね
原文を尊重して・・・そのまま訳しています・・・
そして青銅の指輪の魔神は彼に従いました。
この惨めな状況で海上に立っていた若い船長は、誰かが自分から青銅の指輪を盗んだに違いないと確信し、大声で自分の不幸を嘆いた。しかしそれは彼にとって何の役にも立ちませんでした。
船長「ああ!」
彼は心の中で思った。
私の指輪を奪った者は、きっと私の愛する妻も奪ったに違いない。自分の国に帰ったとして何ができる?
そして彼は島から島へ、岸から岸へと船で渡りました。
どこに行っても皆が彼を笑っているような気がしました。
するとすぐに彼の貧困は深刻になり、彼と彼の乗組員、そして哀れな黒猫たちはハーブ以外に食べるものが何もなくなりました。
そして、長い間さまよった後、彼はネズミが住む島にたどり着きました。
船長は海岸に上陸し、その国を探索し始めました。どこにでもネズミがいて、ネズミしかいませんでした。
何匹かの黒猫が彼の後を追ってきましたが、数日間餌を与えていなかったため、恐ろしいほどお腹が空いて、ネズミたちを片っ端から狩りだしました。
そこでネズミの女王が会議を開きました。
ネズミの女王「あの船の主が凶暴な動物たちを何とかしなければ、この猫たちは私たち全員を食べてしまうでしょう。私たちの中で最も勇敢な者たちから、代表を彼のところに送りましょう」
数匹のネズミがこの任務に名乗り出て、若い船長を探し出しました。
代表のネズミ「船長、早く私たちの島から去ってください。さもなければ、ネズミたちも滅びてしまいます」
この世界のネズミは人語を話せるのデス。いいデスね?
おとぎ話・・・あるある・・・
喜んで。と若い船長は答えた。
船長「それでは、まず、どこかのずる賢い魔術師が私から盗んだ青銅の指輪を私に返してもらわなければなりません。そうしなければ、私の猫たちは全てこの島に上陸し、あなたたちは絶滅するでしょう」
ネズミたちはひどく狼狽して仲間たちのもとに帰還した。
ネズミの女王「さて、どうすれば良いでしょうか? この青銅の指輪はどうやって見つけられますか?」
彼女は新たな評議会を開催し、世界中からネズミを集めたが、青銅の指輪がどこにあるのか誰も知らなかったのです。その時、遠い国から三匹のネズミがやって来ました。一匹は目が見えず、二匹目は足が不自由で、三匹目は耳が切り取られていました。
新参者「ほほほ! 私たちは遠い国から来ました。」
ネズミの女王「魔神が従う青銅の指輪がどこにあるか知っていますか?」
新参者「ほほほ!私たちは知っています。老魔術師がそれを手に入れ、今では昼はポケットに入れ、夜は口の中に入れています」
口の中・・・気持ち悪い・・・
絶対、何回か誤飲してるデス。その度に下から・・・モゴモゴ
言わせ・・・ねーよ・・・?
ネズミの女王「直ちにその老魔術師のもとに向かうのです。彼から指輪を奪い取り、できるだけ早く戻ってきてください」
そこで、三匹のネズミは船を作り、魔術師の国に向けて出発しました。
首都に到着すると、彼らは上陸して宮殿に走り、船の世話をする盲目のネズミだけを岸に残しました。
それから彼らは夜になるまで待ちました。邪悪な老人はベッドに横たわって青銅の指輪を口に入れると、すぐに眠ってしまいました。
ネズミ「さて、どうする?」
二匹の小動物は互いに言いました。
耳を切り落としたネズミは、油の入ったランプとコショウの入った瓶を見つけました。そこで彼女は尻尾を最初に油に浸し、次にコショウに浸し、それを魔術師の鼻に当てました。
老魔術師「はくしょん!はくしょーん!」
老人はくしゃみをしましたが、目を覚まさず、衝撃で青銅の指輪が口から飛び出しました。足の不自由なネズミは、思ったとおりになったと、素早く、指輪をひったくって、ボートまで運び去ってしまいました。
目が覚めると青銅の指輪がどこにも見つからなかったときの魔術師の絶望を想像してみてください。
しかしその時までに、3匹のネズミは賞品を持って出航していました。心地よい風が彼らをネズミの女王が待つ島へと運んでいきました。当然のことながら、彼らは青銅の指輪について話し始めました。
ネズミたち「私たちの中で第一功は誰だと思う?」
彼らは一斉に鳴きました。
盲目のネズミ「私だよ。私が注意して船を見ていなければ、今頃この船は外海に漂流していたんだぞ」
片耳のネズミ「ちょっと待ってくれ。第一功は私だ。私があの男の口から指輪を飛び出させたんじゃないか?」
足の不自由なネズミ「いやいや、私だよ。何せ、指輪を持って逃げたのは私だからな」
そして、彼らはそれぞれの自分勝手な物言いから、すぐに殴り合いになりました。そして、口論が最も激しくなったとき、なんと青銅の指輪が海に落ちてしまいました。
ネズミ「一族の存続が掛かっている御守りの指輪を、私たちのせいで失くしてしまった。どうやって女王に顔を合わせたらいいんだ」
三匹のネズミは嘆きました。
ネズミ「いや、このまま国に戻ることなどできない。そこの無人島に上陸して、そこで私たちの惨めな人生を終わらせましょう」
言うや否や、船は島に到着し、ネズミたちが上陸しました。
盲目のネズミは、ハエを捕まえに出かけた二人の妹たちにすぐに見捨てられました。
しかし、海岸に沿って悲しげにさまよっていた彼女が、死んだ魚を見つけて食べていると、何かとても硬いものを感じました。
盲目のネズミ「ああ!」
彼女の叫び声に、他の二匹のネズミが駆け寄ってきました。
ネズミ「それは青銅の指輪だ! お守りだ!」
オマエたち。メスだったのかよ、デス!
一人称を『俺』で訳していた管理人・・・慌てて修正するの巻
彼らはうれしそうに叫び、再び船に乗り込むと、すぐにネズミの島に到着しました。
ちょうど船長が猫の積荷を陸揚げしようとしていたとき、ネズミの代表が貴重な青銅の指輪を持ってきた。
船長「青銅の指輪よ、主人に従いなさい。私の船を以前と同じように見せてください」
すぐに指輪の魔神が動き始め、古い黒い船は再び錦の帆を備えた素晴らしい黄金の船になりました。ハンサムな船員たちは銀色のマストと絹のロープに駆け寄り、すぐに首都に向けて出航しました。
船乗りたちはガラスのような海の上を飛びながらなんと楽しそうに歌を歌っていたことでしょう。
ついに港に到着しました。
船長は着陸して宮殿に走り、そこで邪悪な老人が眠っているのを見つけました。
王女は夫を長い抱擁で抱きしめました。
魔術師は逃げようとしたが、捕らえられ、強い紐で縛られた。
翌日、木の実を積んだ凶暴なラバの尻尾に縛り付けられた魔術師は、ラバの背中にあった木の実と同じ数だけ粉々に砕かれました。
けっこう長いお話デス。庭師が王様になる前と後で分けれそうデスけどね
噴水前のお婆さんの正体不明・・・
そういえば、あれから登場しなかったデスね・・・。まあ、良いデス。それでは、のんこ、このお話の教訓をお願いするです。
大事な物は、身に着けておきましょう・・・
皆さん、財布はロッカーとか部屋に置きっぱなしは駄目デスよ!
参考リンク
翻訳元の原文は以下のリンク先を参照にしております。
The Project Gutenberg eBook of The Blue Fairy Book
Title: The Blue Fairy Book
Author: Andrew Lang
Release date: October 21, 2005 [eBook #503]
Most recently updated: January 27, 2021
Language: English
Credits: Produced by David Widger, and Charles Keller for Tina
*** START OF THE PROJECT GUTENBERG EBOOK THE BLUE FAIRY BOOK ***